複雑な構造を分析するために、ネットワーク解析を適用し、構造全体の性質と構成要素の個々の役割を調べています。以下では、建物内の間取りの要素(部屋、廊下、階段など)をネットワーク(“グラフ”と言います)で表現する例を示します。構成要素(“頂点”で表現されます)の間のつながり方から、各構成要素の果たしている重要性を数値(中心性指標)で“見える化”することが可能です。
図1のような建物群を分析すると、例えばエレベータ前のホール部や、玄関前の十字路の数値(媒介中心性、図2)が高くなります。このようにネットワーク構造から求められる理論値と、実際の通行人数のカウント数を比較すると、それらの間に相関があることがわかってきました。今後は、観光地における人出(入込客数)の推定などの社会実験でその有効性を確認していきます。
研究活動報告
社会実践に向けたテキスト分析のための統合環境
研究者:砂山 渡(工学部電子システム工学科)
テキスト分析のためのさまざまなツールを統一的に扱うための環境TETDM(http://tetdm.jp)(図1)の構築を行っています。本環境にはテキスト分析のための40種類以上のツールと、30種類以上の可視化のためのツールが備えられています。これら既存のツールと、目的に応じて新規に追加されるツールとを組み合わせて用いることで、農業,看護,観光を初めとする多様な目的に対応できるデータ分析環境を構築しています。
データとしては、ニュース記事、アンケートデータ、日誌や日報などのデータ、掲示板やSNS等のコメント集合、など電子的に集められるテキストは全て分析対象となります。現在は、Rによるデータマイニングと組み合わせた分析や、ディープラーニングによる学習結果を用いた文章分析、など,実用的な分析環境とするための改良を行いながら、地域との連携可能性を探っています。
人間とコンピュータの知的な協働作業によって、コンピュータによる結果の提示にとどまるのではなく、人間の意思決定における具体的なアイデア生成までを全体の枠組みとして捉え、その一連の手順を支援する環境とするべく研究を進めています。
嚥下機能評価システムの構築に向けての取り組み
研究者:宮城茂幸(工学部電子システム工学科)、 小澤恵子(人間文化学部生活栄養学科)、 森谷季吉(草津総合病院)、 坂本眞一(工学部電子システム工学科) 、酒井道(工学部電子システム工学科) 他 学生4名
我が国は超高齢社会に突入し、現在では国民の4人に1人以上が高齢者であるといわれています。このような高齢者の増加に伴って、嚥下障害も問題化しています。嚥下障害による「誤嚥」は肺炎を招く要因の一つです。厚生労働省の平成27年人口動態統計月報年計(概数)によると、肺炎は、悪性新生物、心疾患に次いで全死因の第3位です。肺炎の中でも高齢者に多いのは「誤嚥性肺炎」であり、高齢者肺炎のおよそ
70%以上が誤嚥性肺炎であるとも言われています。
医療機関では、嚥下機能を評価するために嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)が用いられますが、特別な機器や操作技術が必要ですので、在宅での評価は不可能です。今後グループホームや在宅による介護が増加するにしたがい、別な技術がいらず、一般の看護従事者や介護従事者であっても実施できる簡便で統一された嚥下機能評価システムが必要とされています。そこで、従来の頸部聴診法を援用した嚥下音の解析と頸部深度画像を組み合わせた嚥下機能評価システムの構築を目指した基礎研究を行っています。
現在、草津総合病院頭頸部外科・甲状腺外科センター長森谷季吉医師と同院NST嚥下チーム協力のもと、嚥下音の取得や嚥下時の頸部の動きを捉えるための深度画像撮影を行っています。これらのデータをもとにして、健常者と嚥下障がい者との嚥下音の特徴差を調べたり、深度画像から頸部甲状軟骨の動きを推定する方法を検討しています。
嚥下音の解析は、時系列信号解析と呼ばれる解析手法の応用とみなすことができます。時系列信号解析では、音(音声)だけでなく、加速度センサや角速度センサといった種々のセンサ信号も取り扱い、それらの信号から有用な情報の抽出を行います。これにより行動認識といった分野への応用も可能です。また、深度画像については、物体の追跡、形状推定といった問題へ適用できます。このようにここでの研究結果は、嚥下機能評価にとどまらず様々な分野へ応用可能です。
図1.健常者の嚥下音の例
食塊流入からVE画像がホワイトアウトするまでを赤色で、 ホワイトアウトから呼気再開までを青色でプロットしています。 食塊の流入にともない嚥下がすぐさま開始され、
バースト状に嚥下音が発生することがわかります
テキスト分析によるデータサイエンスとその応用
取り組みテーマ分野:<スマート農業・看護・観光・ファクトリー>
研究者:砂山 渡(工学部・電子システム工学科 )
データ分析とその応用全般に関しては、本センターのスマート化に関わる根幹をなす部分といえます。その中でも、テキストデータは、数値データよりも分析に必要とされる手法がより複雑で困難となることが多いとされています。
本研究では、そのようなテキストデータの分析について、砂山渡教授が長年開発してきたテキスト分析ツール・TETDM(https://tetdm.jp、フリーソフトウェアとして無料入手・活用可能)をベースとして、説明されています。下図に示すような手順は、すべてのデータ分析において行われるものであり、数値データの場合には種々の人工知能系のツールが充実し、自由に利用可能となっています。しかし、テキストの場合は、まずその中の情報を分類・整理して「分析」「可視化」する部分について、これまでは文章の読み手の主観に頼っているきらいがありました。本研究では、その部分も自動化しつつ、「結果の収集」「解釈の集合」の部分についても手順化し、人間が知識を得て意思決定することを可能としています。実例として、アンケート結果の分析について、TETDMによる操作例も示されています。
なお、TETDMに関する解説書籍を砂山教授自身が出版しており、そちらもご参照下さい(砂山渡、「フリーソフトTETDMで学ぶデータ分析」(コロナ社、2020年))。
▲テキスト分析ツール:TEDDM
▲データ分析による意思決定手順。本研究では、特にテキスト情報の場合の分析手順を説明している。
工学部と連携して行うICT教育システムを活用した看護技術の効果的な教育方法の検討
取り組みテーマ分野:<スマート看護>
研究者:関 恵子(人間看護学部・人間看護学科)
看護あるいはその関連分野の内容が変化・多様化する中で、ケアリングの重要性が増したり専門化したりする傾向があります。従って、それが関係する看護教育においても、手技教育が要素として含まれますが、実技実習に関してはいわゆる「勘」と「コツ」に頼ってきた部分がほとんどと言えます。とりわけ、新型コロナウイルス流行に伴い、対面での演習が不可能となったため、学生の習熟度アップに対して非常に困難な状況が生まれました。
本研究では、「勘」と「コツ」を中心とし、実際の手技において見よう見まねで実施されてきた手技教育について、ロボット工学の手法を導入して、ファントム素材とその中の圧力センサによるデータ可視化を実現したものです。ファントム素材としては、本研究ではソフトアクチュエータ(空気圧ソフトデバイス)を用い、その中に圧力センサを内蔵することで、実技者の作業により生じた位置・力・速度情報を可視化しました。そして、熟練者のデータと実習生のデータを数値として比較することで、実習生は熟練者の値に近づくように習熟度を高めていくことが可能です。この手法については、実際に使用した実習生に対して行ったアンケート結果からも、その有効性が確認できました。
本研究は、工学部・機械システム工学科の西岡靖貴講師と共同で行われました。
▼「柔らかセンサ」を活用する手技療法教育システム。
持続可能な農作物生産・畜産のための工学的手法によるアプローチ
取り組みテーマ分野:<スマート農業>
研究者:秋山 毅(工学部・材料化学科)
農業の現場においてICT化を実施する取り組みについて、最近多くの報告がある中で、本研究では農業の実施によって発生する温室効果ガスの低減や、畜産の省力化を目指し、望む場所でICT化を行うための電源構成に着目した実装に取り組んでいます。
本センターで取り組んでいる看護や工場の現場とは異なり、農業の現場ではICT化を進めるにあたって、電線敷設が十分でないことも多く、電源の確保が別途必要です。そこで本研究では、農地内の耕作未利用地を活用した発電・蓄電による電源構築によって、ICT機器への電源供給のみならず、農業の電化による温室効果ガスの発生量低減を目指した検討を行っています。具体的には、実際の棚田の法面に太陽電池モジュールを設置し、発電から蓄電池への蓄電・直交流変換も含めたシステムを構築し、太陽光発電と電力利用を含む実証実験を行いました。一方、畜産への応用については、子牛の行動モニタリングのための位置センサーと加速度センサーを常時駆動するための電源の適切な選択と組み込み、将来のより長期間のモニタリングに対応できる発電+蓄電系からなるユビキタス電源の設計を行いました。子牛の行動モニタリングに関する成果については、前述の通りです。
以上の研究について、棚田における農業のエネルギー自立については、伊吹くらしのやくそう倶楽部様の平成31年度と令和2年度の滋賀県地域エネルギー活動支援事業補助金による活動成果に基づくものであり、畜産における子牛のモニタリングについては、㈱フォーカスシステムズ様、滋賀県畜産技術研究センター様、工学部・電子システム工学科の宮城茂幸准教授と共同し、令和3年度滋賀県近未来技術等社会実装推進事業補助金の支援のもとで行われました。
▲農業・畜産業の持続可能性を高める、発電・蓄電システムとセンサシステム。
ロボットアーム・ロボットハンドの研究と作業の省力化
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:山野 光裕(工学部・機械システム工学科)
従来から開発され工場現場(FA: ファクトリーオートメーション)でも適用されてきたロボット技術について、最近注目されているソフト・ロボティクスについて研究開発を進め、本年度までの数年間で、形状記憶ゲルを用いて形状が調整可能な多指ロボットハンドや多関節を少数のモータで駆動するロボット指等、新しい動作原理で働くロボットのを生みだしており、種々の現場の状況に対応可能なロボット技術に発展させることを目指しています。
指を粘土細工のように変形させて利用するロボットハンドと多数の関節を少数のモータでまとめて駆動するロボットハンドの開発を進めています。
現状では、ペットボトル状等の物体の把持実験で原理の確認ができており、今後、より複雑な形状に対しても適用可能なロボットへと発展させていく予定です。工業用途のみならず、将来的には農業における収穫ロボット等への応用も期待されます。
▲ロボットアーム・ロボットハンドの研究と作業の省力化。形状記憶ゲルを活用している。
(写真は2018年3月に学会発表し、2021年3月の滋賀県立大学地域ひと・モノ・未来情報研究センター第4回成果発表シンポジウムで紹介したもの)
個々の現場で使える深層学習開発のためのユーザ支援ツール

取り組みテーマ分野:<スマート農業・スマート看護>
研究者:榎本 洸一郎(工学部・電子システム工学科)
現場で種々の対象物の形状を“ハカル”(形状・サイズ把握)ことが必要になりますが、本研究ではその課題解決のために、対象物の画像データを用いて、容易に“測る”・“計る”を実現し、形状やサイズを定量化し、さらに深層学習用ツールとすることに取り組んでいます。
本研究においては、専用アプリケーションを開発し、読み込んだデータ画像内にある対象物をマウス等で“タッチ”(簡単になぞる)だけで測定が可能です。より具体的には、画像内にある対象物部とその背景を区別したり、複数対象物がある場合にそれらの境界を自動認識する技術を実現しています。そして、通常の“なぞる”作業をさらに自動化するために、画像セグメンテーション等の分析を可能にしました。具体的には、元画像としては24枚のみを用意し、それを専用アプリケーションでデータ自動抽出し、そのデータについて画像部分のラベル付けや水増し作業を経て11万個のデータとし、それを深層学習(正解付きのデータの作成と訓練・テストにより、自動分析可能にする)の学習データとして活用可能となりました。
この検討は、具体的には化粧品等の効果確認等のための角質細胞の顕微画像分析に応用されており、肌の状態診断に活用可能です。
▲個々の現場で使える深層学習開発のためのユーザ支援ツール。
工場内可視化促進へ -真空装置内で動作可能なIoTセンサの開発-
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:酒井 道(工学部・電子システム工学科)
工場内のクリーンルームの生産ラインには、薄膜等の形成・微細加工を実現するために真空装置が用いられることが多くあります。特に、現在不足状態となっている半導体製造工程においては、その心臓部にあたる機能を果たしています。しかし、これまでは、その内部状態(薄膜形成や加工がどこまで進んだか、等の検出)は、装置外から観測したごく限られた量の情報により判断せざるをえませんでした。そこで、我々は、真空状態で動作可能なセンサの開発に取り組んでいます。
真空装置内でセンサを動作させることは、これまでほとんど例がありませんが、それはまず真空状態で動作する電子回路部品が、宇宙用途など限られた場合を除き、その目的専用で開発されていないことにあります。今回、我々は、すでに入手可能な電子部品の中から使用可能なものを事前試験で抽出しました。このセンサデバイスをいったん組み上げると、そこに無線通信デバイスを含んでいることで、真空-大気間の有線での情報伝送が不要となり、大きなメリットが生まれます。われわれは、大気圧の1000分の1程度の圧力で動作可能な色彩センサを開発し、同時に真空装置内でよく生成・活用されるプラズマ発光を検出・定量化することに成功しました。センサ部分は、色情報出力デバイス(ディジタル信号出力)とプログラム可能なマイクロコントローラおよび無線通信デバイスによりなります。このマイコン部分は、自由にプログラミングが可能であるため、生データをその場で簡単に加工・処理することも可能です。
本研究は、㈱魁半導体の皆様と共同で実施しています。
▲真空装置内で動作可能なIoTセンサの開発。
自然環境下における水産資源の可視化
取り組みテーマ分野:<スマート農業>
研究者:榎本 洸一郎(工学部・電子システム工学科)
第一次産業のうち、水産業は、農業・林業と異なり、大半の対象物が水中にあり、対応可能なカメラの導入と対象物へのアクセスの困難性により、その見守りのハードルが高く、従来は実際の漁獲状況の分析にとどまっているところがほとんどでした。それに対して、本センターでは、漁獲する前の段階で、水産物資源の状態を可視化し、予測可能性を高めて漁業振興へ貢献することを目指しています。
例えば、北海道の漁獲高に有為な割合を占めるホタテ貝についての資源量推定を行ってきました。様々な海底の状態(砂、礫等)に半ば埋もれる状態で生息している貝の存在の自動抽出においては、背景と対象物が混成した画像をどのように分析するか、という技術課題を解決する必要があります。そこで、深層学習手法を活用し、多くのデータの事前学習により、自動での画像識別を可能としました。
滋賀県は琵琶湖という貴重かつボリュームも多様性も豊かな内水面を抱えており、その可視化や水産業の活性化への応用を検討しています。
看護師を支援する生体計測とソフトアクチュエータ開発
取り組みテーマ分野:<スマート看護>
研究者:西岡靖貴(工学部・機械システム工学科)、伊丹君和(人間看護学部・人間看護学科)、千田美紀子(人間看護学部・人間看護学科)
看護師の看護現場での労働の種類は多岐にわたり、特にその中のいくつかの動作が原因となる腰痛による離職等の問題が深刻であり、このような課題の可視化とサポート機器開発を行っています。
筋電位センサと姿勢センサにより、現場でのデータ抽出・蓄積を行いながら、ソフトアクチュエータ技術を基盤として、アクティブコルセットとアクティブソフトマットの研究開発を行っています。作業に応じてアクティブに形状が変わる状態そのものも、3Dスキャナによる形状測定を行い、現物を定量データ化するために、センサを活用することで、主観評価だけでない客観化を通した開発を行い、実際の作業における作業軽減効果(筋電位低下)も確認できました。
本研究活動は、学外の民間企業様(2社)と協同しながら、本学内においては人間看護学部と工学部の間で分野横断的な検討として行いました。
▲看護師の作業支援のためのセンシング技術と柔軟対応型ハードウェア技術。
円筒マーカによるペン形状器具のリアルタイム動作検出
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:橋本 宣慶(工学部・機械システム工学科)
早くは1960年代から、第2次産業の工場内において、多くの手作業が自動化されるFAの取組が進みました。しかし、究極的には伝統工芸品の作製における手作業を完全にコピーし自動化することが大変困難であることからもわかる通り、工場内作業としての手作業、すなわち「勘」「コツ」に関わる部分にはFA化が進まず、ほとんど手つかずの状態で残っている箇所があります。ベテラン技術者が続々と引退されていく中、社内でごく少数の技術者しか所持されていない技術の伝承は、待ったなしの課題と言えます。
本研究においては、円筒形状の作業具について、独自のマーカーを開発し、その動画を撮影することで3次元的な位置のみならず角度・回転の情報も取得可能としました。この時間変化を捉えることで、動作状態およびその時間積分量を可視化・定量化することが可能です。また、同時に開発している仮想現実感(virtual
reality (VR))・拡張現実感(augmented reality (AR))技術と合わせ、技術者の訓練機の実現や、訓練機作業時のデータ取得による技術レベル評価も可能となると期待できます。
▲作業具の3次元動作追跡を可能とするマーカー設計とVR・AR技術との融合。
簡単操作~無線通信機能付~ポータブルスマートチェッカー
取り組みテーマ分野:<スマート農業>
研究者:酒井 道(工学部・電子システム工学科)
農業において、収穫時期の判定は、サンプリング調査等の手法によるものなど、部分的には診断法が確立してきているものの、大半の場合は農業従事者が長年の経験により判断しているのが実情です。農業従事者の減少・高齢化に伴い、収穫時期判断の自動化と自動収穫機器の開発が待望されています。しかし、高価なシステムの設備投資を農業現場で加速することは困難であり、いかに安価な技術導入を行うかが課題となっています。
そこで、果実や野菜の収穫時に対象物の色が変化することに着目し、㈱チェッカーズが開発した色合いセンサの活用を共同で検討しています。この色合いセンサは、センサ部で赤・緑・青の三原色に対応する値を検出し、そのデータを無線通信によりパソコンやクラウドサーバに伝送できます。実際に測定を行ってみると、例えば図のようなリンゴの場合、もともと色むらがあるため、センサのデータ取得位置によりデータに大きなばらつきが生じることがわかりました。そこで、光学迷彩技術により空間平均値を得ることができ、色合いを評価可能となることがわかりました。今後は、実際の収穫現場での実証検討を行っていきます。
本研究は、連携先である株式会社チェッカーズの登尾一幸様、田口貢士様、植野伸哉様と共同で行いました。
▲簡単操作~無線通信機能付~ポータブルスマートチェッカーの概略説明。
森林が幸福をもたらす現象のモデルを構築、みんなが幸福になる社会の実現のために森林の価値を再評価
取り組みテーマ分野:<スマート農業・観光>
研究者:髙橋 卓也(環境科学部・環境政策・計画学科)
今、世界的にウェルビーイングに関心が寄せられています。経済的な豊かさが必ずしも幸福につながるものではないことはご承知の通りです。森林などの自然豊かな環境の中で穏やかな生活を送ることが幸福の第一歩と思うことはありませんか。森林と幸福にはポジティブな関係があると想像することは難くありません。一方で今、国内の森林産業は不振を極めています。国内での木材生産は低下し、森林所有者の森林離れが加速、森林の経済的価値は下がるばかりです。しかし森林には土砂災害を防止し、人々に必要な水を供給し、さらに多様な生物種を育成保全する役割があり、我々に安全安心を与えてくれます。その役割を承知しているからこそ、人々は森林の傍で森林を眺めながら自然の懐で暮らすことが幸福だと考えるのではないでしょうか。
本研究は、幸福度の観点から、木材の供給だけではない森林の価値を再評価し、森林の位置づけを見直そうという試みです。野洲川流域におけるアンケート調査で、森林のみならず川や琵琶湖がもたらす幸福度を分析しています。その結果からは意外に思えるようなことも分かってきました。森林所有者はかえって不幸せ、自然はあり過ぎるとありがたくない、水害経験があった方が河川幸福度は高い。えっそうなの?と思うような結果ですが、本研究ではなるほどそうかもしれないと思える考察をしています。その他に森林の境界や所有者の不明問題、森林の位置と花粉症分布の関係など、森林にまつわる種々の課題も研究しています。スマホアプリなどのICT技術の導入も視野に入れ、取得データの種類や数を増やし、精度向上や応用分野の拡大を図っていきます。
2024年度からは森林環境税の徴収が始まります。森林や自然をきちんと維持管理することが地球温暖化対策に必要なことは誰でもが知っています。森林を身近に感じて、森林が抱える問題に思いをはせ、森林との関わりを深めていくことが、今求められています。政策に関わる国や自治体だけでなく、産業界においても新たな事業が創出されるものと森林には大きな期待が寄せられています。森林が本当にウェルビーイング(健康・幸福)につながるのか、そうでないなら隠された課題は何なのか。今後も研究を深めてまいります。
機械・構造物の損傷を常時監視するための自励駆動型超音波振動を用いたモニタリング技術
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:田中 昂(工学部・機械システム工学科)
工場の製造設備、橋・道路・水道網などインフラ構造物は、長年使い続けることで劣化・老朽化が進みます。時間の経過とともに、疲労き裂、締結部のボルト緩み、塩害による腐食などの様々な異常が発生し、重大事故が発生するリスクが増えてきます。稼働停止による経済的損害を回避するためには、問題が生じた後に対処する(事後保全)だけでなく、問題が発生する前に不具合を発見する(予防保全)ことや、常時監視し異常発生を予見して対応する(予知保全)ことも必要です。振動工学の観点を中心に、機械・構造物のモニタリングのための異常検出技術の開発に取り組んでいます。
基礎研究として、超音波帯域の固有振動を用いた異常検出技術を開発しています。固有振動は形状や材質で決まる対象物固有の振動です。損傷のある対象物の固有振動を計測すると、損傷がない場合に比べて周波数が低下、振幅が減少します。この変化を検出することで図面などの構造物情報が無くても異常検出が異常の有無の判断が可能です。従来の固有振動計測による異常検出では、機械・構造物使用時に発生する振動計測を行っていました。現在研究が進む予知保全ではより小さな異常を早期に検出する必要があります。微小な内部異常を高感度に検出できる超音波による異常検出技術と固有振動計測による異常検出技術の融合を目指しています。
本研究では、振動が減衰しないよう適切なタイミングで外力を加える制御を行うことで超音波固有振動を励起する自励駆動法を開発し、異常の常時監視、モニタリングへの応用を行いました。その他にも、異常の初期に発生する接触型異常の技術として、低周波振動と超音波を利用する非線形波動変調現象や超音波を2波入力して低周波を生じさせる周波数ダウンコンバージョン現象を利用した検出手法などを研究しています。
超音波による異常検出技術を8月に開催されたイノベーションジャパン2023にも出展し、様々な企業から引合いをいただいています。それらの企業の方々からは具体的な製品の検査工程における課題をご提供いただいており、工場の製造設備のモニタリング、製造した部品の検査など、様々な応用分野で実用化を進めてまいります。
ICT を用いた安価なセンサーの較正及び学習データに対する新たなアプローチ
取り組みテーマ分野:<スマート農業>
研究者:植野 伸哉(大学院副専攻・ICT 実践学座e-PICT受講生)
ここでは、大学院副専攻・ICT 実践学座e-PICT受講生の植野伸哉さんの研究成果を紹介します。植野さんは令和6年度に博士学位(滋賀県立大学)を取得予定で、現在最終的な博士論文の執筆と公聴会の準備を行っています。
植野さんは、第1 期のe-PICT 受講生(社会人コース)としてICT の実践について学んだ後、続けて工学研究科先端工学専攻の博士後期課程に入学しました。その間、一貫して、安価な色彩情報センサを用いた高精度予測技術の開発と研究を行ってきました。
e-PICT 受講生となるにあたって、植野さんは自らが所属する会社で開発した色味チェッカーという製品の応用先を新規開拓し、他社の同様のセンサに対しての優位性を主張したい、というテーマを自ら持ち込みました。これに対して、e-PICT
教員の酒井(のち、博士後期課程の指導教員)は、滋賀県立大学の地元の彦根梨を題材とすることで地域発の独自産品との連携を図り、同時に1,000 以上の色サンプルを備える色見本でのデータ処理プロセスの較正を提案しました。そして、安価かつ正確な色情報を取得するため、色の測定値の較正を深層学習系の手法(ニューラルネットワーク)で行うことを目指して実習を行いました。その後、博士後期課程に進学し、e-PICT
のテーマをそのまま最先端研究のレベルにまで高めることで、博士取得の目途をつけました。具体的な研究の成果は、2 本の学術論文として発表済です。
彦根梨農家の皆様のご協力や、ご紹介いただいた地域の皆様との連携で生まれた研究成果であり、まさにグローカルな、つまりローカルな題材を用いたグローバルレベルの取組に成功した例となりました。
大電力遮断器の放電現象の解析技術と情報学に基づく今後の展開
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:平山 智士(工学部・電子システム工学科)
電力遮断器は、送配電システムの安定動作のために欠くことのできない安全装置です。短絡や地絡事故が送配電システムで起きてしまった場合、遮断器が自動的に事故電流を切ることで、変圧器といった他の電気機器を守ったり、停電の発生を防いだりしています。電流遮断を行うときには、アーク放電と呼ばれる熱プラズマが発生しますが、非常に強い過渡現象であり、また温度・光放射・荷電粒子の挙動が複雑に3次元分布するため、これまでコンピュータモデルとして精度の良いものが実現できていませんでした。
そこで、本研究では、輻射熱輸送モデルと呼ばれるモデルを電力遮断器解析に適用しました。大電流が流れることによる磁場の生成と高エネルギーなプラズマの流れ,さらにそれらが互いに影響を及ぼしあう現象を再現できる電磁流体モデルは構築済でしたので、それをベースとして発展させました。今回、新たに、プラズマから放射される光がプラズマ空間で吸収され、その吸収エネルギーがプラズマ空間の気相温度を上昇させ、光を出したプラズマ状態そのものが変化する、という現象を正確にモデルに組み込むことに成功しました。結果として,アーク放電により生成された熱プラズマが冷却される過程をより正確に模擬できるようになり、遮断後の電流の変化の様子が、実際に観測されるデータとよく一致することが示されました。
現在、各種工場内のリアルな稼働状況や、物理的に複雑な現象を、できるだけ忠実にコンピュータ内で再現する、ディジタルツイン技術の開発が盛んです。この電力遮断器のバーチャルモデルは、単なる3次元現象の再現・可視化技術という枠を超え、難解な物理現象を含んだ現象の再構成に成功した点で、より一歩進んだディジタルツイン技術の提案とすることができました。
前縁波形状翼を用いたドローンの流体騒音低減への取り組み
取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>
研究者:安田 孝宏(工学部・機械システム工学科)
ドローンは、身近で安価な飛行体として、我々の日常生活で、そして人間が近寄れない場所の観測手段として、その活躍の場がどんどん広がっています。翼が回転することから、音が常に発生しますが、その静音化が求められるとともに、逆に特徴的な音の発生源としても注目されています。
この研究は、気相の流体解析と実験検証の場に、生物の構造に範を得たデザインを導入し、ドローンの翼からの音を制御することを目的として行っています。翼の前縁形状にザトウクジラの胸鰭を模倣した前縁波形状翼構造を用いて、気流内の騒音減となる渦の発生を抑止し、静穏化を図ろうとしています。実験結果から、回転速度が3,000
rpm以上のところから発生音のレベル上昇がみられました。今後は、この原因を検証するとともに、回転翼で作られる気流と騒音との間の関係の解明に向けて実験や解析を継続していきます。
本センターでは、ドローンの静音化だけでなく、そこから発生する音により、獣害対策を行う検討も試行しています。幅広い目的で、音の発生とその制御、センサでのデータ取得と分析・最適化設計、ドローンの発生音制御法の適用先開拓、といった方向性で、テーマをさらに掘り下げた検討を続けていきます。
酒造り事業の創発による地域活性化
取り組みテーマ分野:<スマート観光>
研究者:鵜飼 修(地域共生センター)
滋賀県多賀町大滝地区を拠点とする本プロジェクトは、地域資源を活かした新たな酒造り事業を通じ、里山文化の継承と地域活性化を目指している。活動の原点には、琵琶湖周辺に広がる里山の「やさしい暮らし」への気づきがある。農薬を使わない農産物や地域の食材を大切にし、自然と人間が共生する営みは、現代社会が失いつつある価値である。こうした地域の「やさしさ」を事業に昇華させることを目標に、使われなくなった酒蔵の再生とリキュール製造事業の創発に着手した。
本事業の中核は「リキュール:里和浸酒」である。主原料には無農薬ビーツや各種ハーブを用い、原酒には清酒製造の副産物である酒粕を再利用した粕取焼酎を活用する。この循環型の仕組みは、環境負荷を軽減し、資源のアップサイクルを実現する点でSDGsにも合致している。また、酒粕や農産物を地域内で循環させることで、経済的・環境的両面から「三方よし」の価値を追求している。
さらに、この取り組みは環境省が提唱する「地域循環共生圏」の理念とも深く結びついている。地域循環共生圏とは、地域ごとに存在する多様な資源を有効に活用し、人と自然が共生しながら持続可能な暮らしを営む圏域を形成する考え方である。リキュール:里和浸酒の生産プロセスでは、地域の米や野菜・ハーブを原料に用い、副産物である酒粕は再発酵・蒸留後に再び肥料として農地へ還元される。この一連の循環は、資源の域内完結型利用を促進し、地域の生態系保全や農業の持続可能性を高めるとともに、経済的価値を地域に取り戻すものである。まさに「人と自然の共生」と「資源循環による地域自立」を具現化した事例と言える。
リキュール市場の成長は世界的に続いており、国内でもクラフトリキュールの需要が高まりつつある。しかし、現状では参入事業者が少なく、差別化の余地が大きい。本プロジェクトは「SATOYAMA」という国際的にも通用するブランド概念を活用し、滋賀県の里山文化を背景に独自性のある製品展開を志向している。また、OEMによる試験製造とクラウドファンディングを組み合わせた段階的戦略を採用し、2025年度には酒類製造免許の取得、自社製造への移行を目指している。さらに長期的には、全国の酒粕を活用した商品開発や世界展開を視野に入れ、地域を支える基幹産業に成長することを目標としている。
事業展開においては、製品戦略として「こころと身体にやさしい」ブランド価値を前面に押し出し、成分分析や大学との連携によるエビデンスを確保する。パッケージデザインには地域在住のアーティストを起用し、参加型・育成型の仕掛けを導入することで、地域住民の関わりを強めている。販売戦略では、免許取得前はクラウドファンディングやEC、ふるさと納税を活用し、免許取得後は自社販売と卸売の両輪で収益基盤を拡大していく計画である。
本事業の強みは、琵琶湖周辺の里山という希少な地域資源に立脚している点、環境立県・健康長寿県としての滋賀県のブランド力、そして大学や地域ネットワークとの連携基盤にある。さらに、酒造りのノウハウを持つ人材や地域農業者、デザイナーなど多様な協力者を巻き込み、地域の持続可能性を高める「共創」の枠組みを築いている。地域循環共生圏の理念を体現するこの仕組みは、持続可能な農業や食文化、さらには観光や教育分野とも連携可能であり、多面的な波及効果をもたらす。
結論として、「酒造り事業の創発による地域活性化」は、単なる商品開発にとどまらず、地域文化の継承、循環型社会の実現、AI・ICT時代における雇用創出を同時に果たす挑戦である。「リキュール:里和浸酒」は、地域循環共生圏の中核的な取り組みとして、地球にも人にも地域にもやさしい酒となり、地域の未来を紡ぐ新たなシンボルになることが期待される。
加速度センシングによる子牛の健康異常の早期発見に向けた取り組み
取り組みテーマ分野:<スマート農業>
研究者:宮城 茂幸(工学部・電子システム工学科)
滋賀県の「近江牛」は三大和牛のひとつとして古くから全国的に知られ、ブランド化に成功していると言えます。一方で高齢化に伴う畜産業従事者の減少という問題がありますが、牛肉の需要は変わらないため、畜産農家一戸あたりの飼育頭数は増加するという傾向にあります。子牛を繁殖、育成することは時間も手間もかかり難しいということで、滋賀県畜産技術振興センターでは子牛を飼養し、畜産農家に供給するという子牛の育成事業を行っています。子牛を効率よく育てるには多頭飼育にならざるを得ません。しかしその場合、子牛の疾病を見逃してしまい、損失につながるということが起こります。疾病監視には哺乳量の計測や体温のモニタリングなどが考えられますが、一時的な哺乳量の減少だけでは必ずしも健康異常とは限りません。また正確な体温を得るためには直腸温を測定しますが、個体を確保する必要があり、特に多頭飼育では現実的ではありません。
そこで以前から人の動作の検出などに用いていた加速度センサを利用して、子牛の運動量を計測するという着想を得ました。加速度センサを子牛に装着し連続的に加速度時系列データを採取してみるというところから始め、データサンプリングの程度や解析するためのしきい値の設定方法など、解析手法のノウハウの蓄積を重ねました。装着方法によっては有効なデータ採取が難しいだけでなく、センサを壊されてしまうというような問題も生じました。データを24時間ごとに分割し、時刻ごとの静止と非静止の状態の識別をし、加速度がある閾値を超えた時間を積算して頻度分布グラフを作成、健康個体と発熱個体の違いを示す特徴量を見出そうとする試みを続け、使えそうな手法を見出すことに成功しました。統計的な手法を用いて、精度の高い判定が可能になったと言えます。
センサやデータ送信のための電源の長時間稼動化やデータ通信の安定化、個体差のある子牛をいかに精度よく判定するかなど、課題も多く残されていますが、データの蓄積を進めてさらに精度によい解析手法を検討していく方針です。
本研究は畜産業の効率化や省力化、コストダウンに寄与して近江牛というブランドを守るためだけでなく、対象とする子牛の健康を維持するためのものでもあり、アニマルウェルフェアの考え方にも通じています。
看護分野における空気圧ソフトアクチュエータ・センサの開発
取り組みテーマ分野:<スマート看護>
研究者:西岡靖貴(工学部・機械システム工学科)
地域ひと・モノ・未来情報研究センターには工学部以外の教員もメンバーとして参加しています。看護分野における課題を解決するための、人間看護学部の教員と工学部の教員との学部横断型研究の取組を紹介いたします。
言うまでもありませんが看護の対象は人です。しかも疾患のある方や高齢者など、慎重に扱う必要がある方がほとんどです。また機械化が進んでいるとは言え、看護を主体的に行うのも看護師という人です。看護の分野でのスマート化は人を対象とする場合が多く、考慮しなければならない最大の点は安全性です。まず安全な技術を利用するということから始めました。安全に力を加えることができるものという観点で選択したのが、柔らかな材料で構成され機械的な動きを生み出すソフトアクチュエータでした。非伸縮性の高い高分子フィルム材料で作製した薄膜空気室に、流体を注入することで剛性の高い構造を得ることができます。この空気室の形状や組合せの設計次第で様々な動きを実現することができます。身体に触れたとしても流体を含む柔らかい薄膜であれば大きなダメージを与えることはありません。力などを測定するセンサについても同様です。力が空気室に加わることで内部の流体の圧力が高まり、その圧力を測定することで加わった力を測定することが可能です。力を加える人の部位を損なうことはありません。これらの安全性の高いソフトアクチュエータ・センサを利用するという思想がここで紹介する学部横断型研究の基礎となっています。
最初にアクティブコルセットの例を示します。腰痛を発症している看護職の方は多く、離職の大きな理由のひとつにもなっています。被介助者への負荷を軽減するためには不適切な体勢で介助しなければならず、自らの腰を犠牲にすることが多いと言えるようです。腰痛を軽減するには腹部を圧迫するコルセットを装着し、腹圧を向上させることが有効です。しかし外力で腰を固定してしまうため、力を加えるとき以外は動作の邪魔になります。そこで必要時のみ機能し、必要でない時は空気を抜いて柔らかくできるエア駆動のアクティブコルセットを開発しました。加圧時にはコルセットとして機能し、非加圧時は衣服と同等の柔らかさになります。看護学生によるアンケート調査では介助動作が楽になり動きやすいという結果が得られています。筋電を測定した試験でも軽減率が25%~30%の軽減率を確認しています。
次にマッサージ動作学習支援システムの例を示します。看護におけるハンドマッサージは抗うつや不安軽減などの効果があり、重要視されています。しかしながらそのハンドマッサージ動作を習得するには熟練者の指導が必要で、自己学習が難しいという問題があります。そこで加わった力の情報をリアルタイムで視覚提示し、客観的評価を学習者にフィードバックできる支援システムを開発しました。3Dプリンタで作製した土台に空気室とLEDライトを配置し、それぞれの空気室の空気圧を測定することで加わった力を評価し、結果をLEDの色で示します。この支援システムを使用することで、適切なマッサージ操作を習得することができ、結果として学習前後でマッサージをした組織の血流量が10%向上したという結果が得られています。
ここでご紹介した研究は看護師の仕事の現場や看護教育を行う中から出てきた課題に対するものです。看護される側ではなく看護する側の負担を軽減するアプローチの研究と言えるでしょう。医療分野の研究と言えば、バイオ医薬や先端的な医療機器、様々なフェーズでの基礎研究、臨床試験を経て進める先端的治療の研究などをイメージすると思います。しかし看護現場に直接結びついた、それで困っている医療従事者が多くいるような普遍的な課題の解決も重要です。学部横断型の研究はそのような課題に取り組む機会を与えてくれるのではないでしょうか。









