ICT を用いた安価なセンサーの較正及び学習データに対する新たなアプローチ

取り組みテーマ分野:<スマート農業>

研究者:植野 伸哉(大学院副専攻・ICT 実践学座e-PICT受講生)

 ここでは、大学院副専攻・ICT 実践学座e-PICT受講生の植野伸哉さんの研究成果を紹介します。植野さんは令和6年度に博士学位(滋賀県立大学)を取得予定で、現在最終的な博士論文の執筆と公聴会の準備を行っています。
 植野さんは、第1 期のe-PICT 受講生(社会人コース)としてICT の実践について学んだ後、続けて工学研究科先端工学専攻の博士後期課程に入学しました。その間、一貫して、安価な色彩情報センサを用いた高精度予測技術の開発と研究を行ってきました。
 e-PICT 受講生となるにあたって、植野さんは自らが所属する会社で開発した色味チェッカーという製品の応用先を新規開拓し、他社の同様のセンサに対しての優位性を主張したい、というテーマを自ら持ち込みました。これに対して、e-PICT 教員の酒井(のち、博士後期課程の指導教員)は、滋賀県立大学の地元の彦根梨を題材とすることで地域発の独自産品との連携を図り、同時に1,000 以上の色サンプルを備える色見本でのデータ処理プロセスの較正を提案しました。そして、安価かつ正確な色情報を取得するため、色の測定値の較正を深層学習系の手法(ニューラルネットワーク)で行うことを目指して実習を行いました。その後、博士後期課程に進学し、e-PICT のテーマをそのまま最先端研究のレベルにまで高めることで、博士取得の目途をつけました。具体的な研究の成果は、2 本の学術論文として発表済です。
 彦根梨農家の皆様のご協力や、ご紹介いただいた地域の皆様との連携で生まれた研究成果であり、まさにグローカルな、つまりローカルな題材を用いたグローバルレベルの取組に成功した例となりました。

 


2024年03月31日