前縁波形状翼を用いたドローンの流体騒音低減への取り組み

取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>

研究者:安田 孝宏(工学部・機械システム工学科)

 ドローンは、身近で安価な飛行体として、我々の日常生活で、そして人間が近寄れない場所の観測手段として、その活躍の場がどんどん広がっています。翼が回転することから、音が常に発生しますが、その静音化が求められるとともに、逆に特徴的な音の発生源としても注目されています。
この研究は、気相の流体解析と実験検証の場に、生物の構造に範を得たデザインを導入し、ドローンの翼からの音を制御することを目的として行っています。翼の前縁形状にザトウクジラの胸鰭を模倣した前縁波形状翼構造を用いて、気流内の騒音減となる渦の発生を抑止し、静穏化を図ろうとしています。実験結果から、回転速度が3,000 rpm以上のところから発生音のレベル上昇がみられました。今後は、この原因を検証するとともに、回転翼で作られる気流と騒音との間の関係の解明に向けて実験や解析を継続していきます。
本センターでは、ドローンの静音化だけでなく、そこから発生する音により、獣害対策を行う検討も試行しています。幅広い目的で、音の発生とその制御、センサでのデータ取得と分析・最適化設計、ドローンの発生音制御法の適用先開拓、といった方向性で、テーマをさらに掘り下げた検討を続けていきます。

 


2024年03月31日