工場内可視化促進へ -真空装置内で動作可能なIoTセンサの開発-

取り組みテーマ分野:<スマートファクトリー>

研究者:酒井 道(工学部・電子システム工学科)

 工場内のクリーンルームの生産ラインには、薄膜等の形成・微細加工を実現するために真空装置が用いられることが多くあります。特に、現在不足状態となっている半導体製造工程においては、その心臓部にあたる機能を果たしています。しかし、これまでは、その内部状態(薄膜形成や加工がどこまで進んだか、等の検出)は、装置外から観測したごく限られた量の情報により判断せざるをえませんでした。そこで、我々は、真空状態で動作可能なセンサの開発に取り組んでいます。
 真空装置内でセンサを動作させることは、これまでほとんど例がありませんが、それはまず真空状態で動作する電子回路部品が、宇宙用途など限られた場合を除き、その目的専用で開発されていないことにあります。今回、我々は、すでに入手可能な電子部品の中から使用可能なものを事前試験で抽出しました。このセンサデバイスをいったん組み上げると、そこに無線通信デバイスを含んでいることで、真空-大気間の有線での情報伝送が不要となり、大きなメリットが生まれます。われわれは、大気圧の1000分の1程度の圧力で動作可能な色彩センサを開発し、同時に真空装置内でよく生成・活用されるプラズマ発光を検出・定量化することに成功しました。センサ部分は、色情報出力デバイス(ディジタル信号出力)とプログラム可能なマイクロコントローラおよび無線通信デバイスによりなります。このマイコン部分は、自由にプログラミングが可能であるため、生データをその場で簡単に加工・処理することも可能です。
 本研究は、㈱魁半導体の皆様と共同で実施しています。

▲真空装置内で動作可能なIoTセンサの開発。

2021年03月31日