持続可能な農作物生産・畜産のための工学的手法によるアプローチ

取り組みテーマ分野:<スマート農業>

研究者:秋山 毅(工学部・材料化学科)

 農業の現場においてICT化を実施する取り組みについて、最近多くの報告がある中で、本研究では農業の実施によって発生する温室効果ガスの低減や、畜産の省力化を目指し、望む場所でICT化を行うための電源構成に着目した実装に取り組んでいます。
 本センターで取り組んでいる看護や工場の現場とは異なり、農業の現場ではICT化を進めるにあたって、電線敷設が十分でないことも多く、電源の確保が別途必要です。そこで本研究では、農地内の耕作未利用地を活用した発電・蓄電による電源構築によって、ICT機器への電源供給のみならず、農業の電化による温室効果ガスの発生量低減を目指した検討を行っています。具体的には、実際の棚田の法面に太陽電池モジュールを設置し、発電から蓄電池への蓄電・直交流変換も含めたシステムを構築し、太陽光発電と電力利用を含む実証実験を行いました。一方、畜産への応用については、子牛の行動モニタリングのための位置センサーと加速度センサーを常時駆動するための電源の適切な選択と組み込み、将来のより長期間のモニタリングに対応できる発電+蓄電系からなるユビキタス電源の設計を行いました。子牛の行動モニタリングに関する成果については、前述の通りです。
 以上の研究について、棚田における農業のエネルギー自立については、伊吹くらしのやくそう倶楽部様の平成31年度と令和2年度の滋賀県地域エネルギー活動支援事業補助金による活動成果に基づくものであり、畜産における子牛のモニタリングについては、㈱フォーカスシステムズ様、滋賀県畜産技術研究センター様、工学部・電子システム工学科の宮城茂幸准教授と共同し、令和3年度滋賀県近未来技術等社会実装推進事業補助金の支援のもとで行われました。

 

▲農業・畜産業の持続可能性を高める、発電・蓄電システムとセンサシステム。

2022年03月31日